『ダダンが弾正』 司馬ごくたろう先生作

俺は弾正。
そうさ弾正。
人は俺をそう呼ぶさ。

天下一の無法者。
天下一の恩知らず。
天下一の爆裂野郎。

人がやっては成らぬ事。
それを3つもやった男がおる。
それがこいつだ。
そんな風にあんたは俺を評したな。

よく言うぜ、自分の事を棚に上げ。
似たようなことやってるくせに。
主を裏切り。お上を殺し。仏焼き。
なんだ同じじゃねぇか。
え?そこまでしてないって?
小さなことにこだわるんじゃねぇよ。
似たようなことやってることには変わんないじゃねぇか。
へっ!
あんたは俺のモノ真似さ。
俺のあとからついてくる。
けっ!

そうだよ。あんたは。
あんたは俺の真似して真似して、ついには俺の物まで欲しがって!
ほら。
これな~んだ。
この包みから取り出したるは・・・。
どうだっ!
これが天下の名器「平蜘蛛の茶釜」だっ!
どぉ~~だぁ~欲しいだろぅ。
ほら。ほら。ほ~ら。
あげないよぉ~だ。ははん。
見て見て。この色。この艶。この膚触り。
ん~もぅ。気持ちいい~っ。
ほらほら触りたい?触りたい?
ほ~ら・・・だぁ~め。
ダメダメ。ダメなんだよぉ~。
くんくん。くんくんイイ香り。
匂う?
ねぇ匂う? この香り?
この匂い、そっちまで届かないの?
う~ん。残念。
せっかく。くかくか。とても。くかくか。
茶釜に。くかくか。染みつくかくかこのくかくかおり。
くんくん。くんくん。

くやしかったらココまで来てみな!
来れねぇだろ。どぅだ。あん?
・・・。
ば、ばか!
来るなっ!
そ、それ以上近寄るんじゃねぇ。
あぶないじゃねぇか。
ほら見てみぃコレを。この樽を。
酒樽じゃねぇんだぞ。
中身を知って驚くなよぉ。v これはなっ!
・・・ん~教えてあげない・・・たぁっと待った!
悪かった、悪かった、俺が悪かった。
怒んない。怒んない。
こまいことで怒んじゃねぇよ、ったくもぅ。

これはねぇ。
・・・。
・・・。
・・・うふっ!
あ、まだ怒ってるぅ。
もうお馬鹿さん。
これはね。火薬なの。火薬。
そう。
どどどどど~んって。
あの火薬。
こんなにイッパイの火薬どうするかって?
わかる?
・・・。
だめだめ。もっと大きな声で言ってくれないと聞こえないよ。
はい、もう一度。
・・・。v そう! 正解! おめでとう!
こいつで、どど~んっと吹っ飛ぶの。
そう俺・・・あ、あたしが!
「平蜘蛛の茶釜」と一緒にね。

怒ったてだめ。
泣いたってだめ。
笑ったってだめだってばぁ!
だめ、だめ、だめ。
絶対に、ぜ~ったいにだめ!
もう許してあげないもん!
え? 許す許さないのはそっちのセリフって?
いいの?
いいの?
そんな風にいっていいのダーリン?
「平蜘蛛の茶釜」が無くなっちゃうのよ。
ほら。ほ~ら!
びくついちゃって。

あ、泣いてる?
泣いてるの?
困ったなぁ。
だめ。
俺・・・あ、あたしそういうの弱いんだなぁ。
ゆ、赦しちゃおぅかな。
また、御免って謝って降伏しちゃおうかな。
ねぇ「平蜘蛛の茶釜ちゃん」。どう思う?
そう。そうよね。
降伏したら今度は「平蜘蛛ちゃん」を持ってかれちゃうんだよね。
あたし・・・「平蜘蛛ちゃん」と離れられないわ。

ね。「平蜘蛛ちゃん」。
一緒に死の。
ねぇ。いいでしょ。
心中よ。心中。
きっと後世ではやるわよ。
「信貴山心中」ってね。
いいわ。いくわ。
いくわよ。

・・・あぁぁぁぁ。


                     (姦)訂正’(完)



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