「戦国の時代へ・・・」第14話 湘南B作先生作

車が霧に迷い崖から転落するという、きっかけにより現代から永録元年(1558年)織田信長が今川義元を破る、桶狭間の戦いの2年前の世界へタイプスリップしてしまった中嶋太郎達一行(本間利和、沖芳子、望月美貴)、藤吉郎(のちの豊臣秀吉)は、偶然か何かの導きか織田信長と会うことができ、中嶋太郎、本間利和、沖芳子、望月美貴の4人は客人として、藤吉郎は草履とりとして信長に召し抱えられることになった。
織田信長は天下布武を旗印に天下統一に向け動き出した。

信長は浅井、徳川の軍勢とともに上洛戦に勝ちつづけ無事に入京し、京、畿内の平定にいそしんでいた。

「本間、またこんなところにいて。」
利和は、信長の留守を知って、信長の居室を使っていた。
「でも、もうここもあきてきたし、早く信ちゃんやさる帰ってこないかな。毎日退屈だよ。
やぱっり、京まで一緒に行けばよかったな。」
「でも、京はまだ治安が安定していないみたいだし、信長様も落ち着くまでは岐阜に留まれって言ってたからな。」
「それより、チュウリン、いいもの見つけたんだ。
なんか紙ない。」
私が懐から和紙を取り出すと、利和は奥からごそごそなんか取り出して、紙につけた。
私はそれを見てはっとして。
「本間、これ天下布武の朱印じゃないか。
こんなもの勝手に使っちゃまずいって。」
「信ちゃんの物はオラの物。
どうせ判子使ったくらいじゃばれないしね。
元通りに戻しておけばいいだけだから。」
「でも、信長様も上洛を果たしたし、これから昔のようにも行かないかもよ」
「さるも手紙で昔に比べ信長様は厳しくなったと言っていた。」
その時物音がした。
後ろを振り向くと、芳子がいた。
「なんだ、芳子お姉さまか。
びっくりさせないでよ。」
「びっくっりしなきゃいけないようなことなんかしてたんか?」
芳子が言った。
「本間が、天下布武の朱印をいたずらしていたから。」
私がいうと、
「最近、姿が見えないと思ったらとんでもないことしておるな。
それは、そうと信長様から京に来るようにって手紙がきたんや。
美貴ちゃんが支度を始めておるし、私達も支度にとりかからんと。」
「よかった、オラちょうど退屈していたところだし。」
「退屈って、なんか楽しそうに朱印で遊んどっただけやろう。」
「まあ、呼び出しを受けたからには早く行かなければいけないから。」と私が言い、私達も京に行く支度を始め、明朝には出発した。

京につくと、私達は予想していた通りとはいえ、荒れ立てていた京の都に驚いた。
その中でも、新しい建物の建築など復旧しつつある様子は見て取れた。
私達は京の町の中をうろうろと歩いていると、信長の家臣足軽らしき人が絡んできた。
私達をそこらの町人かなんかと思ったのだろう。
そのような格好で京の町を歩いていたのだから無理もないといえば無理もないが。
しかし、次の瞬間その足軽の首は飛んだ。
あまりに突然のことだったので、私たちは声も出なかった。
「よく来たな。」
信長は馬上から私たちに声をかけた。
「信長様、あの足軽は・・・。」
美貴が言った。
「見せしめじゃ。
このくらいやらねば、京の町。
我が軍の統制は取れぬわ。」
信長はそれだけいうと、黙りそのまま、信長の京の居館に案内した。
居館に着くと秀吉、秀長も迎えてくれた。
「よく来た。よく来た。
ねねもたっしゃか?」
「なんか、ねねっち、さるが京の都で浮気しているという噂が流れていて気にしてたよ。」
秀吉は秀長のほうに目をやった。
秀長は違うと手で合図した。
「浮気なんかするどおりがない。」
秀吉は言った。
「秀長様に目をやるあたり、怪しいですわ。」
芳子が言った。
「さるは、京都守護職を任せることにしたし、いろいろあるんじゃろう。」
信長が言った。
「わしより、光秀殿のように京に精通しておる人はいくらでもいるのに。」
秀吉がいうと、
「やらぬと申すか。
だからわしは、さると光秀両名に守護職を任じたのだ。」
信長は少し不機嫌になった。
「やらぬとは申していません。
ありがたくやらしていただきます。」
秀吉は言った。
「わしは岐阜に戻って戦の支度をせねばならん。」
「この辺の戦は終わったんじゃないの?」
と本間が言った。
「朝倉攻めじゃ。」
信長が言うと、
「政ちゃんと、朝倉攻めしないって約束していなかったけ。」
利和が言った。
「長政には内緒じゃ。
戦が始まればこちらの味方になってくれるであろう。
そもそも、何度となく朝倉には上洛要請をしているにもかかわらずにいっこうに上洛しない朝倉が悪い。
わしの天下布武に朝倉だけ外すわけにはいかないんじゃ。」
「それより、美貴殿。
この都に洋服屋を作ってみろ。
ここには洋服を来た南蛮人もいるし、人も集まる。
儲かるかもしれんぞ。
あと、わしが南蛮の宣教師達と対面するときようの洋服も作ってくれ。
堺と大津の商売の権利ももらったので好きに商売して良いぞ。」
信長はそう言い、さらに
「そなた達は地球儀というものを知っているか?
南蛮人もそなた達と同じように地球は丸いと言い、今度地球儀なるものを持ってくると言ったいたぞ。」
私たちは地球儀や世界の地理などについて信長に説明した。
一緒に聞いていた秀吉は今ひとつのようだったが、信長はある程度理解できたようだった。
そして、数日後には信長と洋服作りの仕事のある美貴、戦に備えて馬の世話のある芳子は岐阜に帰った。
私と利和は秀吉とともに京に残った。
秀吉はまったく都のしきたりが合わずに苦労しているようだった。
都のしきたりに精通してている光秀にききながらなんとかこなしているようだったが、私たちは
「きっと、信長様がさるに京都守護職を命じたのは都のしきたりを覚えさせたいんじゃ
ないで、都のしきたりを壊したいためにさるに京都守護職を命じたんじゃないか。」と言った。
しかし、口で言うのは簡単でもなかなか都のしきたりを壊すのは難しそうだった。
私たちでさえ、将軍と謁見する時、謁見する時のしきたりを光秀に聞きに行ったりした。
また、しきたりを大事にしようとする光秀と壊そうとうする秀吉で徐々に2人の間に亀裂ができてくるのは分かった。
私や利和はその中でもなんとか2人の間で上手くやっていっていた。

信長は朝倉討伐軍の準備を住ませると再び上洛した。
信長上洛軍とともに美貴と芳子もついて上洛した。
私達は京にも住まいを与えられ、私と利和、美貴、芳子は久しぶりに会い話しにはながさいた。
「チュウリン、でも朝倉も馬鹿だよね。
信ちゃんに、たぬき親父に政ちゃんが相手で勝てるわけないのに。
おとなしく上洛すればよかったのに。」
利和が言った。
「まあ、裏では義昭も糸ひいとるしな。」
芳子がいうと、
「ちょっと、どういうこと。
義昭って信ちゃんのおかけで将軍になって、城まで建てててもらったのに。」
利和が言った。
「まあ、義昭はプライド高いし、信長様も義昭の家臣に成り下がるつもりはないからね。」
芳子は続けて言った。
「でも、歴史上この戦には信長も苦労するんだよ。」
私が言った。
「朝倉って強いの?」
利和が聞いた。
「朝倉っていうよりも浅井が裏切って挟み撃ちされるんだよ。」
「えっ、政ちゃんが裏切るわけないじゃん。
市様もいるんだよ。」
利和はそう言い、私たちは口をつぐんだ。
「オラ、ちょっと小谷城まで様子見に行く。
チュウリンも行くよ。」
利和はそう言い、私たちが止めても聞きそうになかった。
「本間君。それじゃあ、これ持って行って。」
そう言い、美貴が風呂敷包みを渡した。
「これなに?」
私が聞くと、
「お市様から頼まれていた洋服。
これがあれば、商人ということで会いやすくなるでしょう。」
美貴は答えた。
私と利和は翌日小谷へ向った。
小谷城では前回会ったとき同様なにも変わらないように市は私と利和を迎えてくれ、届けた洋服を大変喜んでくれた。
長政は忙しいということで会うことは出来なかったが。
そして、市は帰りぎわ
「これを兄にわたしてください。」と小豆袋を私に手渡した。
私達はそれを受け取り何事もなく城を出ようとした。
その時、浅井長政の父、久政の手勢に言いがかりをつけられ、私たちは捕らえられてしまった。
「おねし達は織田の家臣ではなかったか?」
久政は私達に詰め寄った。
その時、
「父上、おやめください。
その者達は、我が盟友織田家の者。
市の着物を届けてくれただけです。
怪しいものもなにも所持していないでしょう。」
長政が現れた。
「このような小豆袋を。」
久政の手勢の一人が小豆袋を長政に手渡した。
「あっ、これは市様が信ちゃんに・・・。」
利和はもらした。
「市が信長に・・・。」
長政はその小豆袋を手に取り、少し間をおき大笑いをした。
「この小豆袋をどう取るかで信長の命運別れるか。
よい、この浅井家の当主はこの長政ぞ。
解き放て。」
長政は続けてそう言い、小豆袋を返され、私たちは解き放たれ城をだされた。
利和は
「政ちゃんが現れてよかったね。」
と喜んでいたが、私は複雑な気持ちだった。

信長は快調に朝倉攻めを行い、金ケ崎城まで来ていた。
その信長の陣に私と利和は訪れた。
「よく来た。
市も長政も元気だったか?。」
信長は戦が上手くいっていることもあり上機嫌だった。
しかし、私が市からのものと小豆袋を手渡すと、信長は電流が走ったようになり顔色が変わり両方を縛ってあった小豆袋の片方を刀で切り落とした。
「この小豆袋、片方の結わえは朝倉、もう片方は浅井じゃ。
長政が裏切おった。
撤退じゃ。
京に引き返す。」
「しんがりはさるめに。」
秀吉は言った。
「この家康もともにしんがりを勤めさせていただきます。」
家康もしんがりを志願した。
「よし、しんがりは家康殿とさるに任せる。
さる、死ぬなよ。
あと、中嶋殿と本間殿はわしらと行動をともにしないほうがいい。
直接山中を岐阜目指して帰れ。」
そういい残し、信長は京に引き返していった。
前田利家も
「また、みんなで騒ぎましょうそ。」
私と秀吉に声をかけ、信長とともに撤退していった。



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