「戦国の時代へ・・・」第2話 湘南B作先生作

車が霧に迷い崖から転落するという、きっかけにより現代から永録元年(1558年)織田信長が今川義元を破る、桶狭間の戦いの2年前の世界へタイプスリップしてしまった。
中嶋太郎達一行(本間利和、沖芳子、望月美貴)と藤吉郎(のちの豊臣秀吉)は相模の国小田原に向けて山道を旅をしていた。

「チュウリン、まだ小田原着かないの?
来るときは、車で簡単に着いたのに、もう何日も歩いているよ。
オラ、もう疲れた。」本間がぼやいた。
「この程度で疲れるとは、おぬし達は今までどんな生活を送っていたんだ。
これでも、おなごが一緒だからと思うてゆっくりと歩いているんぞ。
公家みたいな生活をして屋敷から出ていなかったんだろう。
まあ、今日中には小田原に着くから我慢してくれ。」藤吉郎が言った。
「一番先に弱音はきそうな美貴ちゃんだって、ちゃんと歩いとるんやから、本間もちゃんと歩かんと。」沖が千葉をなだめた。
「私は歩くのには慣れているから。
それに、現代に比べて空気は美味しいし、景色はいいし、路が悪いのは置いといても凄く気持ちいいわよ。」と望月が言った。
「じゃあ、休憩。」
本間は意地でも休もうとしていた。
「さっき、休んだばかりじゃないか。」と私が言っても本間は聞くそぶりを見せなかった。
「あっ、あれ。」
沖か一つの方向を指差し行った。
私達もその方向を見て、声をあげそうになった。
その方向には壮大って日の光を浴びた立派な城があった。
「小田原城じゃ。」
藤吉郎が言った。
「小田原城って、あんな立派な城だったの?
オラが見た現代の城は凄いちっちゃかったのに。」と本間は声をあげた。
「小田原がちっちゃい?
わしが見たところ大きさでは日本一の城じゃ。」
と藤吉郎が言ったときには、今まで休もうと騒いでいた本間は早足で歩き出していた。
「みんな、おそいぞ。」
本間は、何か嬉しくなったのか壮大な小田原城に興味を持ったのか、一刻も早く小田原に着きたい様子に見えた。
そんな、本間に引っ張られて私達は予定よりも早く小田原に着いた。
小田原城下に着き、宿を取った私達は、日が暮れるまで藤吉郎と別行動を取ることにした。
「早く、小田原城に行こう。」
本間が言った。
「本間、城に行っても中には入れてもらえないよ。」と私が言った。
「どういうこと。
見学くらいさせてくれないかな。」
本間がさらに言った。
「私も見てみたかったけど無理か。」望月も言った。
「見学なんかさせてくれるわけないやろ。
美貴ちゃん、本丸のところ行って象見ようとか思っていたんやないやろうな。
この時代の小田原城に象なんかいないで。」沖が冗談半分に言った。
現代の小田原城には象がいる。
「この時代の小田原城に象がいたら恐いわ。
信長もびっくりするだろうな。」望月が笑いながら言った。
「本間、小田原城に入りたかったら、今から藤吉郎に頼んでおきな。
何十年か後の小田原城攻めの時、小田原落城の後入れてくれるかもよ。
運が良ければ小田原城もらえるかもよ。」
と私が言うと、
「そうだよね、今の藤吉郎もまさか自分が小田原城攻め落とすなんて思っていないもんね。
今夜、ちゃんと約束しておこう。」本間はすっかり自分が小田原城をもらう気になった。
その後、私達は小田原の城郭を外から見学し、小田原の市をうろうろと見学した。
もちろん、この時代のお金があるわけでもなくただの見学だった。
「ここで、いつまでもうろうろしていてもしかたないやろ、馬見にいこう。」と沖が言い、みんな馬屋に行こうとした。
沖は、現代でも馬が好きで、馬を見るために競馬を見にいくくらい馬が好きでまた詳しかった。
「望月さん、なんかいい着物見つけた?」
あまり動こうとしない、望月を見つけて私が声を掛けた。
「大丈夫、お金もないし。
今日はウィンドウショッピングだから。
お馬さん見にいきましょう。」と望月が言った。
「美貴ちゃん、ここにはウィンドウないで。
着物くらい、信長様が派手派手のやつくれますわ。」と沖が言い、そのまま私達は馬屋に向かった。
馬屋に着き、馬を一回り私達は見学した。
「やはり、この時代の馬は凄いわ。」
どの馬もダービーで優勝しそうな馬やわ。」沖が感動した。
「ここの馬はどこにも負けません。
どうですか、いい馬は見つかりましたか?」馬屋の主人が出てきた。
「私達、お金ないので見学だけです。」
望月はすかさず言った。
馬屋の主人も私達がお金持っていると思っていなかったらしく、そのまま別の客のところへ言った。
「小田原の馬はなかなかいいだろう。
だけど、甲斐の馬はもっと比べ物にならないくらい良かったぞ。」
藤吉郎だった。
「ああ、藤吉郎さん。
なんか、面白い話しはありました?」望月が聞いた。
「ああ、凄い話しを聞いた。
ここじゃなんだから、もう日も暮れるし、宿に戻ろう。」
藤吉郎が言い、私達は宿に戻った。
宿に着くと、藤吉郎は自分がつかんだ情報を話し始めた。
「噂によると、今川、北条、武田の三国が同盟を組み、今川は京に向けて動き出すと言うんじゃ。
まだ、確証はつかんでいないし、今川が動くのもすぐって話しではないらしいが。
本当に、この三国に堅固な同盟を組んだら天下は決まってしまうかも知れん。
わしも、この三国のいずれかに仕官したほうがいいのかのう。
とりあえず、今川の動きが気になる。
明日にでも駿河に向けて出発しよう。」と藤吉郎はそれだけ言うと、もう寝支度を始めた。
「チュウリン、藤吉郎は信長に仕えるんじゃないの。」
本間は小声で言った。
「そういう歴史なんだから、俺なんかが余計な事しないで、やりたいようにやらしておけばそうなるよ。」
「それより、藤吉郎に頼むことあるんでしょう。」
私が言った。
「そうだ、藤吉郎。
もし、藤吉郎が小田原城攻め取ったらオラに頂戴。」本間がもう寝に入ろうとしている藤吉郎に言った。
「本間は大きい話しをするな。
もし、小田原城がわしの城になったら、本間にやるよ。」と藤吉郎はおき出してはっきりと言った。
藤吉郎はやはり、このように規模の大きい話しが好きだった。
だが、今の藤吉郎はまさか小田原城を自分の手で攻め落とせようとは思っていなかった。
翌日の朝私達は、予定通り小田原を後にして駿河、駿府に向けて出発した。



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