「戦国の時代へ・・・」第22話 湘南B作先生作

車が霧に迷い崖から転落するという、きっかけにより現代から永録元年(1558年)織田信長が今川義元を破る、桶狭間の戦いの2年前の世界へタイプスリップしてしまった中嶋太郎達一行(本間利和、沖芳子、望月美貴)、藤吉郎(のちの豊臣秀吉)は、偶然か何かの導きか織田信長と会うことができ、中嶋太郎、本間利和、沖芳子、望月美貴の4人は客人として、藤吉郎は草履とりとして信長に召し抱えられることになった。
その後、秀吉は出世しついに一国一城の城主となり、信長も居城を安土城に移し、私たちもそれに従い安土城下に移った。

「信ちゃん、どこにいるか知っている?」
旅に出ていた利和が戻って来るなり言った。
利和は、最近色々なところを見て回りたいらしく、信長領内を旅することが多い。
私と美貴、芳子は安土の洋服屋にいた。
「帰ってくるなりどうしたんだ。」
私が言うと、
「信長様なら、お城じゃないの。」と美貴も言った。
「大事件だよ、さるが切腹させられる。」
利和が言った。
「謙信恐れて、さるが逃げてきたらしいな。」
と芳子が言った。
「芳子お姉さま、知ってたのか?
一緒に信ちゃん説得してよ。
あんなさるでもお世話になっているんだから。」
と利和が言ったが、
「軍規違反はだめだろう。」と私も言った。
「もういいよ、オラ一人で行くから。」
と利和は出て行った。
秀吉は陣中で上杉謙信との合戦に苦労している柴田勝家の援軍として派遣されたが、陣中勝家と喧嘩し秀吉の兵をまとめて長浜に戻ってしまったのだ。
当然、信長は激怒し秀吉への謹慎を命じた。
その話を聞きつけた利和は信長を説得しようと戻ってきたのだ。
私達は歴史を知っているので、秀吉が許されるのも知っているために心配はしていなかったが、利和とともに城まで信長を探しに行くことにした。
しかし、どこを探しても信長も小姓の蘭丸も見かけなかった。
「おかしいな、本丸よりは出ていないはずだけどな。」と私が言った。
「どこかに、隠し部屋でもあるのか?」と芳子も言った。
「あるとしたら地下室かな?」と美貴が言い、
私達は本丸の石垣の部分を探索した。
すると、信長の声が・・・。
石垣のあたりに触れてみると地下に続く階段が出てきた。
「大事件!!本丸にこんな地下室があったなんて。」
利和が言った。
「うん、これは現代でも発見されていない地下室だから大発見だよ。」
私も興奮して言った。
私達は階段を下りて行った。
地下室は琵琶湖の湖底に広がり、かなり大きい空間であった。
「さすがじゃな。良くここが分かったな。」
信長が言った。
地下室の中には信長は財宝や高級な茶器などがった。
「信長様、なんのためにこんな地下室を・・・。」
「人間五十年、わしも四十を過ぎた。
天下布武もまもなくなる。
しかし、わしの天下布武など世界からみたら小さなことじゃ。
また、そなた達未来から来たものをみても感じたことだが、長い歴史の中でわしのやったことなど小さなことじゃ。
そこで、わしのやったことを後世まで残してみたくなった。
ここにはわしの集めた物やわしの今までやったことを記したものを入れておく。
ここの存在はわしと蘭丸とそなたたちしか知らん。
もし、この安土が落城することがあってもここは気づかれずにそのまま残るであろう。
後世まで、ここの地下室は確に伝わるであろう。
せっかくだから、ここに美貴殿の洋服も入れておいてくれ。」
と信長は言った。
私達はその話を聞いて、この地下室を利用してみたくなった。
私達が暮らしていた未来よりももっと先の世まで残るのだ。
この地下室の一件で、利和もすっかり秀吉の助命嘆願のことを忘れていた。
地下室から出ると、坊丸が血相を変えて信長の前に来た。
「信長様、大変でございます。
松永久秀、謀反でございます。」
と言った。
「なに、久秀が謀反。」
と一言、言って怒りをあらわにして考え込んだ。
「現在、諸将は戦に出て出陣できる武将はおりません。」
と蘭丸は言った。
その時、思い出しだしたように利和が
「さるは、長浜で暇そうにしているよ。
毎日、宴会やっているくらいだし。」と言った。
「さるの謹慎を解く、直ちに久秀の討伐に向かわせろ。」
と信長は言った。
これにより、秀吉の謹慎は解けた。
その後、平穏な日が続くと持ったが、そういうわけにはいかなかった。
利和はそれまでと変わらずに、長浜、坂本、京、姫路と旅しているようだったが、帰ってくるたびに、
「あと、少しで天下布武だというのに、なんかみんな最近、色々なところで信ちゃんの悪い噂ばかり聞くよ。」と利和は言った。
「この前なんか、みっちゃん(明智光秀)の家臣みんなで謀反を企てるようなことを言っててびっくりしちゃった。
みっちゃんはその気がなさそうだから大丈夫だと思うけど。」と続けていった。
波多野氏を討ち、光成の母が変わりの殺されたというものだ。
その時、私達は本能寺の変が迫っていることを実感した。
本能寺の変のとき、私達はどうすればいいのか?
ということを考えなくてはならないのだ。

その中でも時は流れ、1582年本能寺の変の年。
歴史どおりに信長は武田勝頼を天目山で破り、安土に凱旋した。
本能寺の変は間近にせまっていた。
その日の夜更け。
私と、美貴、芳子で真剣に本能寺の変について話し合っていた。
確かに信長を救いたい気持ちがあるが、歴史は変えられない。
また、信長には歴史を伝えるなと言われている。
謀反を起こそうとしている光秀と私達は、信長に出会う前、尾張に向けて旅していた時からの知り合いだった。
それ以降、親しくやり取りしていたのだ。
美貴の洋服を光秀の娘に贈ったこともあるし、利和も旅の途中光秀の居城坂本城にはよっていたのだ。
光秀が悪い人ではないということを私達は知っているし、光秀の謀反を起こすまでの過程を知って、仕方ない事情があることも分かっている。
話の最中、利和が慌てて、美貴の洋服屋に飛び込んで来た。
「どうしたの?」と私が聞くと
「どうしたのじゃないよ。
信長を討つ相談をしているんだよ。
たまたま、それをみっちゃんの屋敷に遊びに行ったオラが聞いちゃったのがばれて慌てて戻ってきたんだよ。」
追っ手が来るかも知れないよ。」
と利和が言った。
「光秀の家臣ならば、ここの場所も分かっているし、とりあえず、安全なところに逃げた方がいいかも知れないな。
光秀さんは、俺なんかを殺すとは思えないが家臣は何をするか分からない。
というかこのことが露見すると明智家の存続に関わるからな。」
と私が言い急いで私達は旅支度を整え始めた。
だが、実際は追っ手を差し向けようとする家臣たちの動きを察知した光秀は、利和に罪はない。
今ここで利和一人斬ったところで、信長様に謀反をしますよと言っているようなものだ。
と言い追っ手を差し止めたのだ。
その時、光秀は謀反を起こす覚悟を固めた。
その時、風の中戸をたたく音がした。
私達は身構えた。
「それがし、決して怪しいものではござらん、木枯らし紋次郎でござる。」
風に混じってそのような声がした。



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